税務・会計関係書類の保存期間一覧(根拠法令付き)を整理してみました

法人や個人事業主の方、個人の確定申告をしたことがある方は、申告するために使った資料をいつまで保存すればよいのだろうかと疑問に思ったことはありませんか?
申告終わったからもう関連資料はゴミだな(ポイッ)なんてしていませんか?

タイトルにある通り、各種資料の保存期間について、整理してみました。
こちらを参考に、ぜひ関連資料の保存をお願いします!


注意事項

  1. 保存期間の起算日
    • 法人税関係:確定申告書の提出期限の翌日から起算
    • 源泉徴収関係:提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から
    • 個人所得税関係:確定申告期限(3月15日)の翌日から起算
    • 会社法関係:作成時・閉鎖時・総会等の日から起算
  2. 複数の法律で保存期間が異なる場合
    • 最も長い保存期間を適用すること
  3. 欠損金が生じた事業年度
    • 平成30年4月1日以降開始事業年度:10年保存(法人税法施行規則第26条の3第1項)

目次

法人税申告関係

資料名保存期間根拠法令
申告書一式(法人税・消費税等)7年※法人税法施行規則第59条、第67条
総勘定元帳7年※法人税法施行規則第59条
仕訳帳7年※同上
現金出納帳7年※同上
固定資産台帳7年※同上
売掛金・買掛金元帳7年※同上
請求書・領収書7年※同上
契約書7年※同上
見積書・納品書7年※同上

※注意事項: 欠損金の繰越控除を適用する場合は10年間の保存が必要(根拠:法人税法施行規則第26条の3第1項)


源泉徴収関係

スクロールできます
資料名保存期間根拠法令
源泉徴収簿7年法人税法施行規則第59条(法人)
所得税法施行規則第102条(個人事業主)
源泉徴収票(控)7年法的保存義務なし(源泉徴収簿の保存は義務)
※実務上7年保存推奨
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書7年所得税法施行規則第76条の3
従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書7年所得税法施行規則第76条の3
給与所得者の配偶者控除等申告書7年所得税法施行規則第76条の3
給与所得者の特定親族特別控除申告書(注)7年所得税法施行規則第76条の3
給与所得者の基礎控除申告書(令和2年分以降)7年所得税法施行規則第76条の3
給与所得者の保険料控除申告書7年所得税法施行規則第76条の3
所得金額調整控除申告書(令和2年分以降)7年所得税法施行規則第76条の3
退職所得の受給に関する申告書7年所得税法施行規則第77条
公的年金等の受給者の扶養親族等申告書7年所得税法施行規則第77条の4
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書7年租税特別措置法施行規則第18条の23、第18条の23の3

(注)令和7年12月1日に施行され、令和7年分の年末調整から提出される申告書です。
参照:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について

参照: No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間


法定調書関係

資料名保存期間根拠法令
法定調書合計表(控)7年法的保存義務なし
※実務上7年保存推奨
支払調書(控)7年法的保存義務なし
※実務上7年保存推奨

補足: 税務署への提出は義務ですが、控の保存は法的義務ではありません。ただし、再発行対応や監査対応のため7年保存が実務上推奨されます。


地方税関係

資料名保存期間根拠法令
給与支払報告書(控)7年地方税法施行規則(明示的規定なし)※実務上7年保存推奨
償却資産申告書(控)7年地方税法施行規則(明示的規定なし)※実務上7年保存推奨

補足: 提出義務は地方税法(第317条の6、第383条)で明確ですが、控の保存期間は明示的規定がありません。行政実務上の慣行として7年保存が推奨されます。


個人確定申告関係

【青色申告者】

資料名保存期間根拠法令
確定申告書(控)7年所得税法施行規則第63条、第102条
青色申告決算書7年所得税法施行規則第63条
帳簿(現金出納帳、売掛帳、買掛帳等)7年(青色)所得税法施行規則第63条、第102条
決算関係書類(貸借対照表、損益計算書)7年(青色)所得税法施行規則第63条
領収書・請求書7年(青色)所得税法施行規則第63条、第102条

【白色申告者】

資料名保存期間根拠法令
収支内訳書(白色申告)5年所得税法施行規則第102条
収入金額や必要経費を記載した帳簿7年(白色)
※収入金額等
所得税法施行規則第102条第4項
その他の帳簿・書類5年(白色・その他)所得税法施行規則第102条第4項

重要: 白色申告者でも、収入金額や必要経費を記載した法定帳簿は7年保存が義務となっています。


個人確定申告・控除証明書等

資料名保存期間根拠法令・理由
医療費の領収書5年税務署からの提示要請に応じるため5年保存が必要(国税通則法第70条の除斥期間中)
医療費控除の明細書5年同上(2017年分以降、明細書提出により領収書提出不要。ただし5年間保存義務あり)
社会保険料控除証明書5年同上
生命保険料控除証明書5年同上
地震保険料控除証明書5年同上
小規模企業共済等掛金払込証明書5年同上
寄附金受領証明書(ふるさと納税等)5年同上
住宅借入金等特別控除証明書5年同上
住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書5年同上
配当金の支払通知書5年同上
株式等の売買報告書・取引報告書5年同上
源泉徴収票(給与所得者)5年同上
退職所得の源泉徴収票5年同上

説明:

  • 国税通則法第70条は、税務署による更正・決定等の除斥期間(原則5年)を定めた条文です。
  • 控除証明書等は、この期間中に税務署から提示・提出要請があった場合に応じるため、5年保存が実務上必要です。
  • e-Tax申告時にも「法定申告期限から5年間、税務署等からこれらの書類の提出又は提示を求められることがあります」と案内されます。

会社法関係

資料名保存期間根拠法令
計算書類(貸借対照表、損益計算書等)10年会社法第435条第4項
会計帳簿(仕訳帳・総勘定元帳)10年会社法第432条第2項
株主総会議事録10年会社法第318条第2項
取締役会議事録10年会社法第371条第1項

注意: 会社法では帳簿書類を10年保存することが必須です。法人税法(7年)より長い期間が適用されます。


永久保存推奨書類

以下の書類は、法律上の保存期間の定めはありませんが、会社の歴史を示す重要な資料として永久保存が推奨されます。

資料名推奨保存期間理由
定款永久会社の根本規則
登記関連書類永久会社の法的存在証明
税務申告書永久税務履歴の記録
税務届出書永久税務上の選択・届出履歴
重要な契約書永久長期的な権利義務関係
不動産関連書類永久資産の権利証明
免許・許可関連書類永久事業継続の前提条件

注意事項

欠損金が生じた事業年度の帳簿書類

  • 欠損金の繰越控除を適用する場合:10年間の保存が必要
  • 根拠:法人税法施行規則第26条の3第1項
  • 平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度から適用
  • 平成30年4月1日前に開始した事業年度:9年間

個人の確定申告における保存期間の考え方

  • 控除証明書等の根拠資料:原則5年(更正の請求期間に対応)
  • 青色申告者の帳簿書類:7年
  • 白色申告者:
    • 収入金額や必要経費を記載した帳簿:7年
    • その他の帳簿・書類:5年

医療費控除の領収書について

  • 2017年分(平成29年分)以降は「医療費控除の明細書」の提出により、領収書の提出は不要
  • ただし、税務署から求められた場合に提示できるよう5年間の保存が必要

電子帳簿保存法の適用を受ける場合

  • 電子データで受領した請求書等は電子保存が必要(2024年1月以降完全施行)
  • 保存期間は上記と同様(7年、欠損金繰越時は10年)
  • 2年間の宥恕期間は2023年12月31日で終了
  • 新たな猶予措置(相当の理由がある場合)が2024年から導入

保存期間の計算例

【法人の場合】

例:3月決算法人(2026年3月期)

項目日付
決算日2026年3月31日
申告期限2026年5月31日
保存期間の起算日2026年6月1日
保存期限(7年の場合)2033年5月31日
保存期限(10年の場合・欠損金繰越時)2036年5月31日

【個人事業主の場合】

例:2025年分の確定申告

項目日付
申告期限2026年3月16日
保存期間の起算日2026年3月17日
保存期限(7年の場合・青色)2033年3月16日
保存期限(5年の場合・白色その他)2031年3月16日
控除証明書等の保存期限(5年)2031年3月16日

保存しない場合のリスク

保存しない場合、以下のようなリスクを抱えるため注意が必要です。このようなリスクを抱えないようにするためにも、法定で定められている資料は期間を定めしっかり保存しておきましょう。

【税務上の不利益】

  1. 青色申告の承認取消
    • 帳簿書類の保存義務違反により青色申告の承認が取り消される可能性
  2. 推計課税
    • 帳簿書類がない場合、税務署が推計により課税を行う可能性
  3. 重加算税
    • 意図的に帳簿書類を隠蔽・破棄した場合、重加算税(35-40%)が課される
  4. 仕入税額控除の否認
    • 請求書や領収書などがないと、仕入れ税額控除が受けられない
  5. 控除の否認
    • 控除証明書等がない場合、各種控除が認められない可能性

【経営上の不利益】

  1. 過去の取引内容の確認ができない
  2. 取引先とのトラブル時に証拠がない
  3. 融資審査で不利になる
  4. 訴訟時に証拠として使えない
  5. 会社法違反となる可能性(帳簿10年保存)

実務上の管理ポイント

ここで、おすすめの管理方法をご紹介します。とはいっても、まぁそうなるよね、という内容ではあります。

おすすめの管理方法

  1. 年度ごとに整理
    • 事業年度ごとにファイルやボックスで分類
  2. 書類の種類ごとに分類
    • 帳簿、決算書類、請求書、領収書、控除証明書などで分類
  3. 廃棄年月を明記
    • 「○○年○月まで保存」とラベルを貼る
    • 欠損金がある年度は「10年保存」と明記
  4. 電子化の検討
    • 保管スペース削減のため、電子帳簿保存法の要件を満たした電子化を検討
  5. 重要書類の永久保存
    • 定款、申告書、登記関連書類は別途永久保存

実務上の注意事項

  1. 複数の法律で保存期間が異なる場合は、最も長い期間で保存
    • 法人税法7年、会社法10年 → 10年保存
  2. 確定申告書の提出期限の翌日が起算日(決算日ではない)
  3. 欠損金がある年度は10年保存(平成30年4月1日以降開始事業年度)
  4. 重要書類(定款、申告書、登記書類等)は永久保存
  5. 控(ひかえ)の保存
    • 法的義務がない控(源泉徴収票の控、法定調書の控等)も、実務上7年保存を推奨
  6. 電子取引データの保存
    • 2024年1月以降、電子データで受領した請求書等は電子保存が義務

参考法令

【法人税関係】

  • 法人税法施行規則第59条(青色申告法人の帳簿書類の備付け及び保存)
  • 法人税法施行規則第67条(青色申告法人以外の法人の帳簿書類の保存)
  • 法人税法施行規則第26条の3第1項(欠損金に係る帳簿書類の保存期間10年)

【所得税関係】

  • 所得税法施行規則第63条(青色申告者の帳簿書類の保存)
  • 所得税法施行規則第102条(白色申告者等の帳簿書類の保存)
  • 所得税法施行規則第76条の3(源泉徴収に関する申告書の保存)

【国税通則法】

  • 国税通則法第70条(国税の更正、決定等の期間制限・除斥期間)

【消費税法】

  • 消費税法第30条(仕入れに係る消費税額の控除)

【会社法】

  • 会社法第432条第2項(会計帳簿の保存期間10年)
  • 会社法第435条第4項(計算書類の保存期間10年)
  • 会社法第318条第2項(株主総会議事録の保存期間10年)
  • 会社法第371条第1項(取締役会議事録の保存期間10年)

【地方税法】

  • 地方税法第317条の6(給与支払報告書の提出義務)
  • 地方税法第383条(償却資産の申告)

【電子帳簿保存法】

  • 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律

参考リンク

【国税庁公式サイト】

【法令データベース】


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